踏ん切りをつけた日(新たな挑戦)

ずいぶん前から、定年退職したら、いずれは木彫をやろう・・と決めていたんだけど、なかなか踏ん切りがつかなかった。
過日(11/5)、かねてから憧れていた木彫刻師の「菊池侊藍」師とお会い出来た事で、自分の中で踏ん切りがついたので、備忘録的に記録しておくことにしました。

展示中の「招喜雷天」

子供の頃から「龍」が好きで、幼少の頃は「紫色の龍」が必ず描いた絵のどこかに居て、精神科?小児科?の先生は「将来少し危ない(?笑)ので、くれぐれも注意するように」と母親に話したこともあったらしい。
学生時代は、龍が常に周りに居たようで、美術の授業で木彫りをすれば「龍」、バンド名は「地獄龍」、仲間内でTシャツを作ればアイテムは当然「龍」と素直に成長し、社会人になってからも、各地の神社を巡ってはそこかしこの彫刻に心惹かれ。

そんな平成24年のある日、地元の博物館で「円空」の特別展が開かれたので、妻と行ってみた。
そこに展示されていた所謂「円空仏」は衝撃的で、子供の頃に慣れ親しんだ「木彫」が急激に気持ちの中に蘇ってきた。

歳をとったら、模型を卒業して木彫やろう

なんとなく、そんな事を考えつつも日々の仕事に忙殺されて、いつの間にか月日は流れて10年目。

この間に朋友から教えて頂き知った、富山の木彫刻師「菊池侊藍」の彫る・描く龍が凄まじい迫力で、いつかは現物を見に行きたいと願っていたところ、SNS情報で、11月5日~6日に大阪で行われる「未来へ繋ぐ伝統工芸展」に最新作の「招喜雷天」が展示されるとのこと。

ちょっと大阪は遠いなぁ・・でも次はいつになるか分からないし、思い切って行ってみようかな~、と日程を確認したら、なんとその日は、かつての仕事仲間に会いに四国へ向かう日だ!
なんという偶然! これは、ちょっと時間的に無理してでも大阪に立ち寄るしかない!と心で雄叫びをあげたのは言うまでもありません(笑)

始発電車を待つ、地元彩の國のホームにて

令和4年11月5日午前5時半過ぎ。
地元、彩の國を大阪に向け出発。

一人旅は本当に久しぶり。

実は、電車旅行は昔から不得手(-_-;)

電脳世界は苦手ではないけど、FAXと電車の切符を買うのが苦手というのはここだけの話デス。

新幹線のぞみ203号車窓からの富士山

みどりの窓口が開くのを待ち、対面窓口で切符を買うことが出来、のぞみ203号に無事乗車。
窓口で係員から切符をもらうと、なんか安心するのは自分だけかなぁ~(笑)
それにしても、久々に新幹線車窓から眺める富士山。富士山はやっぱり神々しい。

新大阪駅で降車し、全く土地勘の無い新大阪駅で複雑怪奇な路線図に迷いつつ・・・時間的にあまり余裕が無かった事もあって、ここでもドキドキしながら電車を乗り換え、なんとか展示会場のある「大阪城公園駅」に着いたのが午前10時頃。

大阪城公園駅に無事到着
未来へ繋ぐ伝統工芸展ポスター
未来へ繋ぐ伝統工芸展、出口付近にて

駅からは、大阪城公園の横をまっすぐに伸びる玉造筋を10分ほど歩き、会場のクールジャパンオオサカに無事到着。

丁度開場したところで・・入場料500円(安っ!)

入場して、すぐ正面の壁面に、今回のお目当ての「招喜雷天」を発見(一枚目の写真参照)。
ほかの展示物には脇目も振らず、近くに行って見上げてみる。

天井に近い上の方に展示してあったにも関わらず畳4畳の大きさは半端ない大迫力。

うーん、もっと近くで見てみたい!

やっぱり実物の持つ迫力は、デジタル画面からのものより数倍も強烈に訴えかけてくるわ、来て良かった。

と、少しだけ冷静になって周りを見渡してみたところ、菊池侊藍さんらしき方が木版を前に龍の水墨画を描き始めたのが目に飛び込んできた。

ちょっと待て・・

・・・本人が会場入りするという情報はSNSでは無かったよな

・・・でも目の前に居る方は間違いなく御本人。

頃合いをみて、思い切って声をかけました。









ここからは年甲斐もなく舞い上がってしまい、何を話したのかよく覚えていないんです・・・(-_-;)

お会いするのもお話するのも勿論初めてであるにも関わらず、とっても気さくに話をしていただき、有難うございました。実は、かなり感激してました。

更に、一度でいいから実物を拝見してみたかった「俱利伽羅龍王像」が展示されており・・・もう何枚写真を撮ったことか。
どうぞ、ご覧ください。

俱利伽羅龍王像
俱利伽羅龍王像_頭部拡大

この「俱利伽羅龍王像」は一木造(いちぼくづくり)で、光背(こうはい)以外は土台から全て一本の木(クスノキ)から彫りあげたもので、御自身の時間を使っての作品のため、2年間ほど費やしたとのこと。

いわゆる「紙やすり」の類のものは使わずに、彫刻刀のみで表面仕上げを行っているため、よく見ると、彫刻刀の跡が見て取れる部位もあったりして、素晴らしいの言葉以外思い浮かびません。

何度もネットで写真は拝見していたけど、鱗の一枚一枚や髭の表情など、実物を見る価値は大いにあるという事を実感。
ホント、至福のひと時を過ごさせていただきました。



素晴らしい関侊雲師匠の仏像と共に、何枚かの水墨画も展示。

侊雲師匠の仏像と祈龍
そのうちの一枚、「祈龍」です

残念ながら、関侊雲師匠とお話する機会には恵まれなかったものの、同じ仏所の方から職人さんが使われる彫刻刀の話を聞かせていただき、とても参考になりました。

お話をしたり、作品をみたりしているうちに、今まで続けてきた模型との兼ね合いで踏ん切りがつかなかった気持ちが少しずつ整理されていき、木彫にトライしてみようと決めた記念すべき一日となりました。
背中を押してもらったようで、とても感謝しています。人生短いですからね。

四国行バスに乗る時間の都合もあって、展示会場に居られた時間は小一時間と短かったものの、木彫職人の世界を垣間見ることが出来、とっても衝撃的かつ有意義で濃い時間を過ごすことが出来、来て本当に良かったです。

お気にいりの作品

スマホの電源がもうなくなるほど、撮影可の作品を撮りましたし、菊池侊藍師ご本人の写真も撮らせていただきましたが、これらの写真は自分の宝モノにすることにして(笑)、古来伝統の工芸品とは違うアプローチでの作品も興味深いものがあったことを付け加えておきます。

中でも、この作品は気に入りました♬

後ろ髪を引かれる思いで展示会場を後にし、大阪城公園の中を通って駅の方向に向かって歩いているはずが、案の定道に迷い、方向音痴をここで関西の地で露呈しちゃった(笑)。

大阪城公園
秋晴れの、少し紅葉が始まって黄味を帯びてきた大阪城公園にて

ということで、気持ち的な踏ん切りがついたので、木彫の世界に進むことを決めました。
幸い、県内で彫刻刀を作ってらっしゃる方とも連絡が取れたので、スロースタートを切ろうと思います。

生意気ですけど、古来伝統の作風を目指して。

中学生の時に一枚板から彫った「額縁(笑)」
「天下御免 一人旅」が時代を感じちゃうなぁ♬

菊池侊藍師のオフィシャルサイトはこちらです。

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